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彼方神社 - Ochikata Shrine

      2015/11/22

彼方神社と宇治十帖
宇治橋東詰から府道沿いに20メートル程行くと、石垣の上に小さな祠があります。ここが宇治十帖の椎本(注1)の古跡となっている彼方(おちかた)神社です。境内は狭く、小さな社ですが石柱に「式内(しきだい)彼方神社」と刻まれているとおり「延喜式」にも載る格式ある神社で、古くは宗像の神、後に諏訪大明神を祭神としています。これらの神々は水の信仰にちなんだ神であり、かつて宇治川で漁業を営んだ人々にとっては、日々欠かせない守り神であったのでしょう。椎本の古跡が彼方神社となぜ結びついたのかは明らかではありませんが、「彼方」が都から見た宇治を指すという解釈もあり、また椎本の巻にある「をちの白波」「をちこちの汀」の「をち」が、この社のある地名彼方(乙方)を指しているとも読むことができます。
椎本の巻名は、不確かな出生のため若くして求道の心を持つ薫君(かおるのきみ)が、仏道修行の師と仰いだ八宮(はちのみや)の死を悼んで詠んだ、
「たちよらむ陰と頼みし椎が本 むなしき床になりにけるかな」
という歌によります。都での権力争いに敗れ、ここ「をちの里」宇治で、八宮が不遇のうちに一生を終えねばならなかったこの巻の内容とマッチした古跡といえます。

源氏物語第四十六帖のあらすじ
匂宮(におうのみや)は初瀬詣の帰りに宇治で京より迎えにきた薫君とともに宴をはり、管弦を楽しみます。そして、京へ帰った匂宮は八宮からの文をきっかけに大君の妹中君と文を交わすようになります。一方薫君はますます大君に心をひかれていきます。やがて八宮は薫君に姫たちの行く末を頼みながら、山寺で寂しくその生涯を閉じます。薫君はなにかと姫たちの暮らし向きに心を配り、匂宮からも度々お見舞いの文が届けられていました。

(注1)源氏物語第四十六帖・椎本(しいがもと) Uji-Jujo Chapter46 “The Ancient ‘Shiigamoto’ Site”

彼方神社

彼方神社狭い境内の奥にある祠


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【名称】彼方神社(おちかたじんじゃ)
【最寄駅】京阪電車宇治駅から徒歩約3分、JR
奈良線宇治駅から徒歩約12分

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