Mundial Corporation | Official Website

宇治十帖と古跡 – Uji-Jujo Related Spots

源氏物語と宇治

藤原道長の娘彰子に女房として仕えていた紫式部が、世界に誇る長編小説「源氏物語」を書いたのは、平安時代半ばの1000年頃であったと言われています。全編五十四帖のうち四十四帖までは、光源氏を主人公に、華やかな宮廷での恋愛模様とその光源氏に徐々にしのびよる人生の陰を描いたものです。それに対して、最後の十帖は光源氏の子薫君(かおるのきみ)と孫の匂宮(におうのみや)の二人の男性と、大君(おおいきみ)中君(なかのきみ)浮舟(うきふね)の三人の姫君が織りなす、しっとりとした悲恋の物語です。その主要な舞台が宇治の地に設定されていることから「宇治十帖」と呼ばれていますが、「橋姫」ではじまり「夢浮橋」で終わっていることにみられるように、紫式部にとっては源氏物語の終章を書くうえで、川霧にけむる宇治川がなくてはならない舞台装置でした。千年の時の流れを超えて、往時を偲ばせる宇治川の周辺には、いつのころからか好事家たちによって物語ゆかりの古跡がたてられ、訪れる人を遠く王朝文学の世界へと誘ってくれます。(宇治市発行「宇治旅物語」より)

宇治十帖と古跡